血管外科
概要・特色
血管外科では特に下肢の動脈硬化による血行障害に対して、薬物療法を行うほか特殊な診断機器を用いて手術適応を決定し、適切な治療を行っています。
ほかにも大動脈瘤、下肢静脈瘤(血管内治療:ラジオ波による血管内焼灼術)やリンパ管の障害など、愛知医科大学血管外科の専門医が治療方針の判断を行っています。透析患者さまのフットケアも行っています。
下肢静脈瘤の治療
1静脈と下肢静脈瘤について
人の体には血液が流れる管(血管)があり、この血管には動脈と静脈の2種類があります。
動脈は、心臓から送り出された血液を体のすみずみまで流す働きがあります。
静脈は、動脈によって臓器に送り込まれた血液を心臓に戻す働きがあります。人間は立って暮らしているので、特に足の静脈では重力に逆らって血液を下から上へと送るという特別な働きがあります。
足の血液を心臓に戻す『静脈環流』のメカニズムとは?
足の血液は重力に逆らって下から上に心臓にむかって流れます。この血液の流れを『静脈還流(じょうみゃくかんりゅう)』と呼びます。
体内には、静脈還流をスムーズに行うためにいくつかの重要な働きがあります。
- 『呼吸』による血液の吸引
- 流入する『動脈』の血液による押し上げ
- 筋の収縮による『筋ポンプ』作用
- 『静脈弁』
足ではふくらはぎの筋肉によるポンプ作用と静脈弁が重要な働きをしています。
静脈弁が壊れると『下肢静脈瘤』を引き起こします。
静脈弁は、立っている時に血液が足の方に戻ってしまうのを防いでいます。この弁が壊れると、血液が逆流してその下にある静脈に血液がたまってしまいます。
血液がたまった状態が毎日毎日、何年も続くと徐々に静脈の壁がひき延ばされて太くなります。さらに太くなると静脈はヘビのようにグネグネと曲がりくねった状態になります。この静脈が曲がりくねった状態が『下肢静脈瘤』です。
2下肢静脈瘤の進行
下肢静脈瘤は命にかかわる病気ではありませんが、放置しておいて自然に改善することはなく、時間の経過とともに徐々に悪化していきます。
重症化すると湿疹や脂肪皮膚硬化症などの『うっ滞性皮膚炎』を合併します。さらに悪化すると『潰瘍』になってしまいます。
3下肢静脈瘤の治療法
手術や薬を用いない『保存的治療』
弾性ストッキングは、足を締めつけて、ふくらはぎの筋ポンプ作用を助けることによって静脈還流をうながし、足に血液がたまるのを防ぎます。
静脈に薬を注射して固める『硬化療法』
硬化療法は、下肢の静脈瘤に薬を注射して固めてしまう治療です。固めた血管が硬くなることから硬化療法と言われています。硬化療法は軽症の下肢静脈瘤には有用性の高い治療法ですが、進行した静脈瘤には治療効果が期待できない場合もあります。
血管を内側から焼いてふさぐ『血管内治療』
平成30年1月より当院でも血管内治療に対応できるようになりました。
血管内治療は、静脈を焼いてふさいでしまう治療です。細い管(カテーテル)を病気になった静脈の中に入れて、内側から熱を加えて焼いてしまいます。
焼いた静脈は固く縮んでしまい、治療後半年ぐらいで吸収されてなくなってしまいます。
下肢静脈瘤の手術には、血管をしばる『高位結紮術(こういけっさつじゅつ)』と、血管を引き抜く『ストリッピング手術』もありますが、当院では、高周波アブレーションカテーテルによる下肢静脈瘤治療を第一選択としています。
下肢静脈瘤でお困りの方は、血管外科へご相談ください。
医師紹介
専門医等資格
- 日本外科学会外科専門医
- 日本心臓血管外科学会心臓血管外科専門医
- 日本脈管学会認定脈管専門医
- 腹部ステントグラフト実施医・指導医
- 胸部ステントグラフト実施医・指導医
- 下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医・指導医
- 日本血管外科学会認定血管内治療医
- 浅大腿動脈ステントグラフト実施医
- 難病指定医
専門分野
- 血管外科
医療に対する方針・理念
地域の皆様のお力になれれば幸いです。