知っていればその時役立つ話-その3-

7 肺がんへの近道はタバコを吸うこと! 肺がんにならないためには、まず禁煙を マンスリー済衆館だより 希望 第100号(2015年7月号)より 肺がんとは、肺にできるがんのことでがんの中でも、最も死亡される患者さまの数が多く、2010年には約7万人が肺がんで亡 くなっています。 【検査について】 肺がんが疑われると、胸部X線検査や胸部CT検査 により、異常な陰影が写っていないか、リンパ節の腫 れがないか、胸水(きょうすい)が溜まっていないかな どを検査します。その結果、肺がんの疑いがあれば気 管支鏡検査、生検などを行います。その他血液検査に よる腫瘍マーカー、喀痰細胞検査を行います。また、 診断は、肺がんの進行度を表す言葉として病期があ ります。病期にはローマ数字が使われ、肺がんでは、 0期、I期(IA、IB)、II期(IIA、IIB)、III期(IIIA、 IIIB)、IV期に分類されています。 治療前に行われた種々の検査によって病期が判明し、それによって治療方法が決まります。また、手術のときに転移が見つか るなどすれば病期が変わることもあります。 Q&A 【肺がんの治療法は?】 治療方法としては、大きく分類するとがんに対する手術、放射線治療、化学療法と症状に対する緩和医療があります。 肺がんの検査治療は大きく進歩しましたが、図1を見る限り、未だ肺がんは生命を脅かす重大な疾患といえるでしょう。当たり 前と思われるかもしれませんが、肺がんにならないような生活をするということが重要です。 【肺がんは遺伝しますか?】 「がんは遺伝子の病気なので、遺伝でがんになるかならないか決まっているのではないか?」と疑問を抱く方がいるかもしれ ません。確かに、ご家族に“肺がん無”より、ご家族に“肺がん有”のほうが肺がんになりやすい傾向があるようです。がんは、遺 伝子に異常(変異)が起き、細胞が限りなく増殖するようになってしまう細胞の塊のことをいいます。それでは、「どうして、遺伝 子に変異が起こるのでしょうか?」もともと正常な細胞の中に、がんを発生させる遺伝子が潜んでいて、これに外部からの刺激、 環境要因が加わって、その蓄積で、がんが発生すると考えられています。家族に同じがんになった人がいるということは、遺伝的 要因、すなわち体質的に肺がんになりやすい共通点があるだけでなく、環境要因、すなわち家族が同じような生活習慣を共有し ているためという可能性を示します。肺がんリスクについては、たとえば、家族の誰かが喫煙していると、他の家族もタバコの煙 を吸う機会(受動喫煙を含む)が多くなるかもしれません。これは肺がんには「肺に発がん性物質が蓄積することで発症リスク が高まる」という特性があるからに他なりません。 【肺がんとなる環境因子はどのようなものがあるのでしょうか?】 最も関係のはっきりしている危険因子は喫煙です。喫煙者では肺がん発生率が4~5倍も高いことが明らかになっています。 しかも、喫煙開始年齢が早いほど肺がんになりやすいのです。さらに悪いことに、自分では吸わなくても煙を浴びている、受動 喫煙者にも悪影響を及ぼし、喫煙者との同居は、約25%もリスクが高くなると考えられています。 【高齢なので、いまさら禁煙しても無駄ではないでしょうか?】 60歳以上の喫煙と肺がん死亡率を分析した研究があります。過去に喫煙習慣があっても禁煙に成功した人の肺がん死亡リス クは下がっていました。さらに60歳を過ぎてからの禁煙でも、すべての年代で喫煙者より死亡リスクは低くなっていました。タバ コをやめる時期が早いほどリスクが減る傾向も確認できたとしています。長く喫煙習慣があった高齢者でも、禁煙は効果がある と言われています。やはり、肺がんの予防には禁煙が第一ということです。しかし、禁煙しろと言われてもなかなかできないもの です。次に禁煙にまつわる有名なジョークがあります。 “「禁煙ほど簡単なものはないぜ。」と、ある男。「へーえ、どうして?」と、もう一人が、問いかける。「だって、おれはもう100回 近くも、禁煙やってるんだぜ。」”このようなジョークができるほど皆さんが禁煙に苦労しているということが伺われます。 特に多い質問:【禁煙するにはどうしたらいいでしょうか?】 一番大事なのは本人の禁煙をするという強い意思です。できれば、その意思を文章や宣言にして残すといいと思います。禁煙 開始後2~3日をピークに禁煙の離脱症状(禁断症状)が表れる場合もあります。これが禁煙が難しいといわれる由縁です。近 年は、医師が禁煙のお手伝いをするいわゆる 禁煙外来 が保険で認められるようになりました(医療施設によっては自費診療と なります)。禁煙をしようという固い意志ができれば、医療機関に相談するのもひとつの選択です。ご自身と大切な方々の為に、 禁煙について真剣に向き合ってみませんか。当院では、7月より保険適応となる禁煙支援を主体としたタバコ関連疾患に関する 外来を始めました。診療をご希望の方は火曜・水曜日の呼吸器科外来に受診して下さい。ご自身の症状や状態、日常生活や喫 煙状況など含め総合的に適切な治療が受けられるように診療を行います。詳しくは、診療案内または外来スタッフまでお問い 合わせ下さい。 厚生労働省:人口動態推計より 10 男 性 女 性 胃がん 膵がん 白血病 肝臓がん 胃がん 膵がん 乳がん 卵巣がん 白血病 肝臓がん 肺がん 子宮がん 大腸がん 肺がん 前立腺がん 大腸がん 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2009 2010 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2009 2010 10 図1 図のように男性が女性より多いですね。 死亡率(男性人 口 万対) 死亡率(女性人 口 万対)

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