知っていればその時役立つ話-その3-

45 脳卒中っていつの季節に多いの? マンスリー済衆館だより 希望 第138号(2018年9月号)より 前回の「脳卒中週間って知ってますか?」では脳卒中週間は 毎年5/25~31であるとお伝えしました。日本脳卒中協会は、脳 卒中に関する知識を広め一般市民の脳卒中に関する理解を高 めることを目的に、平成14年から毎年5月25日から31日を脳卒 中週間と定め脳卒中に関する啓発活動を行なうようになりまし た 。 この時期を選んだ理由は 1)厚生省健康科学総合研究事業 脳梗塞急性期医療の 実態に関する研究により、脳卒中の大部分を占める脳梗塞の 発症が年間では春に少なく6~8月から増加することが明らかと なった。 2)一般に「脳卒中は冬に多い」というイメージがあるので、実 は脳卒中は夏から気をつけなくてはいけないという警告を与え るためには、その直前である5月の終わりが適切と思われるか ら 。 しかしながら最近の研究によると重症や高齢者の脳梗塞は 秋から冬に多くなることがわかってきました。 そもそも脳卒中とは・・ 脳卒中という言葉は一般的な用語であり、医学用語ではなく 正式には脳血管障害と言います。脳卒中の卒は卒倒(突然倒 れる)の卒で"突然に"の意味、中は中毒(毒にあたる)の中で"あ たる"という意味です。脳卒中とは脳の病気で突然に何かにあ たったようになる(倒れる)ことを意味しているのです。 脳卒中は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分類されます。 脳梗塞・ 脳の血管が詰まる 脳出血・ 脳の細い血管が切れて出血 くも膜下出血・ 脳の血管にできた動脈瘤や異常血管が破れて 出血 さらに脳梗塞はおおまかに次のように分類されます。 ラクナ脳梗塞・ 脳のかなり細い血管が詰まる アテローム性脳梗塞・ 脳の太い血管が動脈硬化で細くなって 詰まる 心原性脳梗塞・ 心臓にできた血の塊が脳の血管に詰まる 一過性脳虚血発作・ これらの脳梗塞のなりかけの状態 特に脳梗塞は発症すると脳細胞がどんどん死滅していって元 に戻らなくなります。よって少しでも早く治療を開始しなければな りません。 我が国でも2005年10月より固まった血液を溶かす薬(組織 プラスミノーゲンアクチベータ、t-PA)を使用する血栓溶解療法 ができるようになりました。 済衆館病院でもこのt-PAを使用した血栓溶解療法が24時 間365日できる体制を整え、2017年の後半の半年だけでも15 例の患者さまにその治療を行いました。中には劇的に症状が 改善し症状がなく通院が可能になった患者さまもみえます。ま たt-PAが無効であったり使用ができない患者さまに対して、カ テーテルによる血栓回収療法も行う事ができるようになりました (当院でできない場合は高次医療機関に転院搬送)。 済衆館病院の脳卒中関連の入院患者さまは2016年に比べ 2017年は約1.5倍になりました。それは地域の皆さんが脳卒中 を身近に感じ、早く病院に受診するようになったからに他なりま せん。 暑い時期もまだ続くと思われますので熱中症対策と同様、水 分の補給もこまめに行うことが脳卒中の予防にもなります。 しかし脳卒中を疑ったら今までと同様に迷わず救急車を呼ん でください。 脳卒中のリハビリテーションについて 脳卒中になると、様々な後遺症が残ることがあります。例え ば、手足が動きにくくなる、言葉がしゃべりにくくなる、食事が食 べにくくなるなどです。こういった症状に対し、動きを良くする訓 練や、助けになるような方法・道具の情報提供を行う事がリハビ リテーション科の役目です。理学療法士は主に歩行などの基本 的動作の獲得を、作業療法士は応用的動作や生活に必要な日 常的動作の獲得を、言語聴覚士は嚥下機能などの食事動作 や言語機能の改善を担当します。それに加え、上肢ロボットリハ ※1(ReoGo-J)、機能的電気刺激(IVES)、ドライブシミュレー ター、吊り上げ免荷式トレッドミルなどの設備を利用し、最新の ニューロリハビリテーションを実施していることが済衆館病院リ ハビリテーション科の特徴です。また、退院前の在宅訪問や、退 院後はデイケア・訪問リハビリなどを実施しており、急性期から 生活期まで幅広い病気の患者さまに対応しています。脳卒中の 後遺症でお困りの方は、脳神経内科・脳神経外科の医師にご相 談ください。 ※1 ロボットリハにつきましては、病院ホームページをご参照く ださい。 季節ごとの脳梗塞患者割合 脳梗塞患者全体では季節別発症率に目立った差はないが、高齢者・心原性脳塞 栓症・重症例では比較的寒い季節の発症が有意に多くなります。 「Circulation Journal」2018 (12~2月) 冬 (3~5月) 春 (6~8月) 夏 (9~11月) 秋 全体(2965例) 年齢75歳超(1482例) 心原性脳塞栓症(1031例) 中等症~重症(873例) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 25.6 25.1 25.5 23.8 26.9 26.5 24.8 21.9 29.5 24.1 23.2 23.3 28.5 26.5 23.8 21.1 公益社団法人 日本脳卒中協会 × 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 うまく笑顔が 作れますか? 腕を上げたまま キープ できますか? 短い文が いつも通り しゃべれますか? 症状に気づいたら、 すぐに119番を! 季節ごとの脳梗塞患者割合 脳梗塞患者全体では季節別発症率に目立った差はないが、高齢者・心原性脳塞 栓症・重症例では比較的寒い季節の発症が有意に多くなります。 「Circulation Journal」2018 (12~2月) 冬 (3~5月) 春 (6~8月) 夏 (9~11月) 秋 全体(2965例) 年齢75歳超(1482例) 心原性脳塞栓症(1031例) 中等症~重症(873例) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 25.6 25.1 25.5 23.8 26.9 26.5 24.8 21.9 29.5 24.1 23.2 23.3 28.5 26.5 23.8 21.1 公益社団法人 日本脳卒中協会 × 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 うまく笑顔が 作れますか? 腕を上げたまま キープ できますか? 短い文が いつも通り しゃべれますか? 症状に気づいたら、 すぐに119番を!

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