知っていればその時役立つ話-その3-

39 下肢の血管がムクムクと腫れ上がる(蛇行)下肢静脈瘤に ラジオ波手術をはじめました 夏になると目立ちますね マンスリー済衆館だより 希望 第132号(2018年3月号)より 下肢静脈瘤とはどんな病気か? 人間の体には大きく分けて2種類の血管があり、心臓から出た血液を全身へ送る「動 脈」と、全身から心臓へ血液を送り返す「静脈」とに分けられます。下肢静脈瘤は足の 静脈、なかでも体の表面近くを走行している表在静脈と呼ばれる血管が太くなってボコ ボコと浮き出てくる病気です。 下肢静脈瘤の原因は? 足の静脈は人間が立っているときなど日常の多くの場面では体の下から上 へ重力に逆らって血液を心臓まで送り届ける必要があります。人間の体にはこ の静脈の流れをスムーズに行うため足の筋肉がポンプの働きをしたり、呼吸に よって血液を心臓まで吸い上げるなどのしくみが備わっています。しかし、これ だけではせっかく押し上げた血液が逆流してしまうため静脈には「静脈弁」と 呼ばれる逆流防止の弁がついています。下肢静脈瘤はこの静脈弁が壊れてし まっているため静脈へ負担がかかることが原因で生じる病気です。具体的には 立ち仕事の方や高齢の方に多く、女性の方では妊娠を契機に発症する方もいらっしゃいます。 下肢静脈瘤を放っておくとどうなる? 下肢静脈瘤は命にかかわる病気ではありませんが、自然によくなることはありません。自覚症状には足の重 だるさや痛み、足がよくつるなどの症状があります。重症の患者さまでは足首付近の皮膚に色素沈着(黒ずんで くる)が現れ、さらに悪化すれば潰瘍になってしまう方もいらっしゃいます。 治療法にはどのようなものがありますか? ❶弾性ストッキングによる保存的治療 弾性ストッキングと呼ばれるやや締め付けの強い靴下を着用することによって、 足の筋肉ポンプの作用を促し血液が足に滞るのを予防します。 ❷静脈の中に薬を注入して固める硬化療法 静脈瘤の中に瞬間接着剤のような薬物を注入し、血管を固めてしまう治療法です。軽度の静脈瘤には効果 的な治療法ですが、進行して太くなりすぎてしまった静脈瘤には効果が期待できないことがあります。 ❸手術治療 下肢静脈瘤の治療法の中で最も効果的な治療法です。従来は逆流している血管の 中にワイヤーを通し、血管を引き抜いてしまう「ストリッピング手術」を行っていました が、最近では血管の中にカテーテルと呼ばれる細い管を通し血管を内側から焼いて塞 いでしまう「静脈瘤血管内焼灼術」が広く行われるようになっています。静脈瘤血管内 焼灼術では小さな傷で手術が行え、片足1時間30分両足2時間30分の手術時間がか かります。局所麻酔で手術が出来るため、術後すぐに歩くことができるといったメリッ トがあり、2泊3日の入院治療となります。当院では平成30年1月より高周波アブレー ションカテーテル(ラジオ波)による下肢静脈瘤治療を導入いたしました。特に尾張中部 医療圏(4月より名古屋医療圏に編入)では初めての導入となります。 最後に 下肢静脈瘤は今や日本人の10人に1人患者さまがいらっしゃる身近な疾患です。自覚症状のほか見た目が気 になるなど静脈瘤でお困りの方は血管外科外来までお気軽にご相談ください。地域の皆様のお役に立つこと が出来れば幸いです。 正常な静脈弁 壊れた静脈弁 (弁不全) 高周波治療 正常な静脈弁 壊れた静脈弁 (弁不全) 高周波治療 正常な静脈弁 壊れた静脈弁 (弁不全) 高周波治療 正常な静脈弁 壊れた静脈弁 (弁不全) 高周波治療

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