知っていればその時役立つ話-その3-

37 みなさんは今まで大腸がん検診でどのような検査をされましたか? 今回は最新の大腸CTをご紹介します。 マンスリー済衆館だより 希望 第130号(2018年1月号)より 今までの検査に比べ体への負担が少なくなっています。 日本では大腸がん(結腸がん、直腸がん)は部位別がん死亡率で女性では1位、男性では3位となっています。大腸がん は早期に発見し早期に治療を受ければ完全に治すことができる病気ですが、早期の段階では自覚症状がありません。 早期に発見するために、40歳以上の方は定期的に検診を受けることが勧められています。 日本では大腸がん検診として検便(便潜血検査)が広く行われており、検便で異常が認められた場合二次検査 として注腸検査(肛門からバリウムを入れて大腸の写真を撮る検査)や大腸内視鏡(肛門からカメラを入れて大腸 内を観察する)が勧められています。特に1970年ごろから画質、機能ともに優れた電子内視鏡が普及してからは、 二次検査として大腸内視鏡が一般化しました。 そして2000年ごろからはCT装置の機能が飛躍的に進化、たった数秒間の息止めで膨大なデータを得ること ができるようになり、さらにそのデータを高速処理して立体的な3D画像作成が可能となり大腸CT検査へと発展 しました。 最近では大腸がん検診の二次検査として大腸CTを行う施設が増えており、当院でも昨年より大腸CT検査を 導入しています。 大腸CTは、カメラを使わずに大腸の病気を診断する新しい検査方法です。 カメラを使わないため、「バーチャル大腸内視鏡」や、「CTコロノグラフィー」「大腸3D-CT」などと呼ばれるこ ともありますが、すべて同じ検査です。 アメリカでは政府の外郭団体American College of Radiology Image Networkが約600万ドル(日本円 にして約5億円)を投入してナショナルトライアルを行い、その結果が良好であったことから大腸CTが有用な大腸 がん検診法としてガイドラインにも掲載されています。 ■大腸CT検査の流れ ●検査前日は朝から検査食を食べていただき、前日夜 に下剤を内服します。 ●検査当日朝からも追加で下剤を内服します。 便が透明の水のような便になったら検査を始めます。 ●検査:まずおしりに腸の動きを止める筋肉注射を打ち ます。 ❶CTの台に横になり、肛門から直径約1cmのチューブを10cmほどいれ、炭酸ガスを注入していきます。 ❷仰向け、うつ伏せ、(場合によっては側臥位)の写真を撮ったら検査は終了です。 ❸検査室への入室から退室まで約20分程度です。注入する炭酸ガスの量は個人差がありますが、使用する炭 酸ガスは普通の空気にくらべて約150倍体内への吸収が早いといわれており、検査終了後約10分程度でお なかは楽になります。 ■大腸CTの長所と短所 まず一番の長所としては、注腸検査や大腸カメラに比べて、苦痛が少な く、短時間で検査が終わることがあげられます。また、何らかの病気で腸管 が細く、カメラの挿入が困難な方にも検査が行えます。他の検査に比べて 問題となる合併症が極めてまれであることも特徴の一つです。また、カメ ラでは観察しにくい大腸のひだの裏もしっかり観察することができます。 平坦な病変や5mm以下の小病変は検出されにくい点があげられます。 だたし、一般的に治療が必要とされる6mm以上の病変の多くは診断でき ます。ただ、細胞の検査やポリープ切除などの治療をすることはできませ ん。病変があった場合は、後日カメラによる検査や治療が必要なことがあ ります。またCT撮影に伴い、最低限で安全な範囲の医療被曝があります。 ただ、被曝量は注腸検査より少なく、大腸がんを見つけるメリットと比べる と問題は少ないとされています。 どの検査にも一長一短がありますが、今までは「大変につらい」と言われることの多かった大腸検査の選択肢 として、従来よりも苦痛の少ない検査法が一つ増えたことでよろこんでいただける患者さまがおられ、病診連携 でもご紹介をいただく機会が増えてきています。 検診の二次検査や、おなかの調子が悪いなどで大腸検査を希望される方は、消化器内科医師へご相談ください。 肛門に細いチューブを挿 入し、大腸へ炭酸ガスを 注入します。 仰向け、うつ伏せの状態 でそれぞれ撮影します。撮 影時間は10秒程度です。 炭酸ガスは空気に比べ て速やかに体内へ吸収 されます。 ❶ ガスで大腸を拡張 ❷ CT撮影 ❸ 検査終了 【大腸CT VE像と内視鏡像の比較:CTで得られた画像データを再構築し仮想 内視鏡画像を作ります。実際の内視鏡検査画像に極めて近い像が得られます。】 【大腸CT VR像:大腸全体 を観察します】 まず一番の長所としては、注腸検査や大腸カメラに比べて、苦痛が少な く、短時間で検査が終わることがあげられます。また、何らかの病気で腸管 が細く、カメラの挿入が困難な方にも検査が行えます。他の検査に比べて 問題となる合併症が極めてまれであることも特徴の一つです。また、カメ ラでは観察しにくい大腸のひだの裏もしっかり観察することができます。 平坦な病変や5mm以下の小病変は検出されにくい点があげられます。 だたし、一般的に治療が必要とされる6mm以上の病変の多くは診断でき ます。ただ、細胞の検査やポリープ切除などの治療をすることはできませ ん。病変があった場合は、後日カメラによる検査や治療が必要なことがあ ります。またCT撮影に伴い、最低限で安全な範囲の医療被曝があります。 ただ、被曝量は注腸検査より少なく、大腸がんを見つけるメリットと比べる と問題は少ないとされています。 どの検査にも一長一短がありますが、今までは「大変につらい」と言われることの多かった大腸検査の選択肢 として、従来よりも苦痛の少ない検査法が一つ増えたことでよろこんでいただける患者さまがおられ、病診連携 でもご紹介をいただく機会が増えてきています。 検診の二次検査や、おなかの調子が悪いなどで大腸検査を希望される方は、消化器内科医師へご相談ください。 肛門に細いチューブを挿 入し、大腸へ炭酸ガスを 注入します。 仰向け、うつ伏せの状態 でそれぞれ撮影します。撮 影時間は10秒程度です。 炭酸ガスは空気に比べ て速やかに体内へ吸収 されます。 ❶ ガスで大腸を拡張 ❷ CT撮影 ❸ 検査終了 【大腸CT VE像と内視鏡像の比較:CTで得られた画像データを再構築し仮想 内視鏡画像を作ります。実際の内視鏡検査画像に極めて近い像が得られます。】 【大腸CT VR像:大腸全体 を観察します】 短 所 長 所 短 所長 所

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