知っていればその時役立つ話-その3-

33 ご自分のお食事を振り返ってみませんか? その1 健康な生活のために、わたしは1日に何をどれだけ食べるのが良いでしょうか? からだに必要な栄養量のお話です マンスリー済衆館だより 希望 第126号(2017年9月号)より 近頃テレビや雑誌などのメディアでは、食事についての様々な情報が取り上げられています。どれを参考にした らよいのか悩ましいところですが、厚生労働省から出ている「日本人の食事摂取基準」よりエネルギーについてお 話させていただきます。 食事の骨子となる栄養計算はどのようにしたら良いのでしょうか? 厚生労働省から「日本人の食事摂取基準」というものが出ていますがご存知ですか?これは国民の健康の保 持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準を示しています。当院の食事もこ れに基づいて作成しています。 特に高齢の方で「私はもう年だから、食事量は少なくて平気」と思われている方がいらっしゃるようですが、決し てそんなことはありません。また、年齢、性別の差も気になるところですが、栄養計算は年齢・性別を問いません。す べて現在の体重に基づき計算するBM(I 体格指数)値が基準となります。そこで今回は、エネルギーについてお話 させていただきます。 エネルギー 一日に必要なエネルギーを知るためには、まず自分の標準体重を知ることが重要です。 BMI(body mass index)値22を「標準体重」といい、統計的に最も病気にかかりにくい体重とされています。 〈計算式〉 標準体重(kg)=(身長m)²×22 なお、現在の体重(kg)÷(身長m)²で、自分のBMI値を計算することができます。表❶を参考にしてください。 前述で出した標準体重から1日の基礎代謝量を算出します。 基礎代謝量とは、何もせずじっとしていても生命活動を維持するために必要なエネルギー量です。 例えば、自分の意思とは関係なく活動している心臓を動かすエネルギーです。 〈計算式〉 基礎代謝量(kcal/日)=基礎代謝基準値(kcal)(表2)×標準体重(kg) この基礎代謝量にそれぞれの身体活動レベルを乗じると、1日に必要なエネルギー量が算出できます。 〈計算式〉 1日に必要なエネルギー(kcal)=基礎代謝量(kcal)×身体活動レベル(表3) では、実際に計算してみましょう。 例)身長150cm、身体活動レベルふつうの50歳女性(Aさん)の場合 標準体重 (1.5)²×22=49.5(kg) 基礎代謝量 49.5×20.7=1025(kcal) 1日に必要なエネルギー 1025×1.75=1793(kcal) 1日に約1800kcal必要ということになります。 今回は、「日本人の食事摂取基準」を基に、エネルギーについてお話させていただきました。入院中の患者さまに おいしく全部召し上がっていただけないのなら、栄養計算は無と同じです。いつでも“おいしかった”と言っていただ ける食事を提供できるよう、努力して参ります。 次号では、栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル)の内訳をお話しさせていただきます。 ※表❶~❸は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」より引用 表❶ BM(I 体格指数)値基準 18.5未満 18.5~25未満 25~30未満 30~35未満 35~40未満 40以上 低体重 普通(標準) 肥満(1度) 肥満(2度) 肥満(3度) 肥満(4度) BMI 状 態 表❷ 基礎代謝基準値 12~14 15~17 18~29 30~49 50~69 70以上 31.0 27.0 24.0 22.3 21.5 21.5 29.6 25.3 22.1 21.7 20.7 20.7 年 齢(歳) 男 性 女 性 基礎代謝基準値(kcal/kg/日) 表❸ 生活の大部分が 座位で、静的な活 動が中心の場合 座位中心の仕事だ が、職場内での移 動や立位での作 業・接客等、ある いは通勤・買い 物・家事、軽いス ポーツ等のいずれ かを含む場合 移動や立位の多い 仕事への従事者、 あるいは、スポー ツなど余暇におけ る活発な運動習慣 を持っている場合 1.50 1.75 2.00 低い(Ⅰ) ふつう(Ⅱ) 高い(Ⅲ) 身体活動レベル 日常生活の内容 身体活動レベル

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