知っていればその時役立つ話-その3-

30 脳卒中週間って知ってますか? 脳卒中週間は毎年5/25~31 今年はもう過ぎてしまいましたが・・・ マンスリー済衆館だより 希望 第123号(2017年6月号)より 脳卒中は、わが国の死因の第4位を占め、患者数は年々増加 しており平成26年の厚生労働省患者調査では118万人に達し ています。また介護が必要になる原因の第1位であり、要介護者 の2割を脳卒中患者が占めています。年々ふくれあがる総医療 費の少なくとも6%、高齢者医療費の8%が脳卒中に費やされ、 医療費・介護費という観点からも社会的負荷の極めて大きな疾 患となっています。 その予防は極めて重要ですが、現実には一般市民の脳卒中 に関する知識は乏しく、生活習慣の改善や危険因子となる高血 圧、糖尿病などの治療が十分に行われていません。 日本脳卒中協会の調査では、一般市民の6割の方は脳卒中 の危険因子を全く知りません。 米国においては「脳卒中月間(Stroke Awareness Month)」が、英国においては「脳卒中週間(Stroke Awareness Week)」が設定されて毎年特定の期間に集中的 に啓発活動が行われていますが、我が国において脳卒中に関し ては集中的啓発活動が行われていませんでした。 そこで、日本脳卒中協会は、脳卒中に関する知識を広め一般 市民の脳卒中に関する理解を高めることを目的に、平成14年か ら毎年5月25日から31日を脳卒中週間と定め脳卒中に関する 啓発活動を行なうようになりました。 この時期を選んだ理由は 1)厚生省健康科学総合研究事業 脳梗塞急性期医療の実 態に関する研究により、脳卒中の大部分を占める脳梗塞の 発症が年間では春に少なく6~8月から増加することが明らか となった。 2)一般に「脳卒中は冬に多い」というイメージがあるので、実は 脳卒中は夏から気をつけなくてはいけないという警告を与え るためには、その直前である5月の終わりが適切と思われる から。 そもそも脳卒中とは・・・ 脳卒中という言葉は一般的な用語であり、医学用語ではなく 正式には脳血管障害と言います。脳卒中の卒は卒倒(突然倒 れる)の卒で"突然に"の意味、中は中毒(毒にあたる)の中で"あ たる"という意味です。脳卒中とは脳の病気で突然に何かにあ たったようになる(倒れる)ことを意味しているのです。 特に脳梗塞は発症すると脳細胞がどんどん死滅していって元 に戻らなくなります。よって少しでも早く治療を開始しなければな りません。 我が国でも2005年10月より固まった血液を溶かす薬(組織 プラスミノーゲンアクチベータ、t-PA)を使用する血栓溶解療法 ができるようになりました。世界中のガイドラインでもすすめられ ている方法です。しかしながら発症から4.5時間以内でさらにC Tスキャンで梗塞所見がまだ出ていない場合にしか使用できず 実際に治療できる患者さまは限られ、せいぜい新規の脳梗塞 の患者さまの10%弱ぐらいと言われています。 特に我が国ではこの治療法の施行率が低いことが指摘され ていますが、それは患者さまがすぐに病院を受診しないことが 原因と言われています。症状が軽いから様子をみる、変わらな いから翌日受診ではこの治療ができないばかりか、症状が進行 してしまって戻らなくなる可能性も高いのです。 済衆館病院ではこのt-PAを使用した血栓溶解療法が24時 間365日できる体制を7月より行います。もちろん発症から4.5時 間以内であってもその治療の必要性がなかったりリスクが高い と判断した場合、治療は行いませんがその判断もできるようにな ります。また不整脈による脳梗塞予防のための抗凝固薬の一部 (市販名プラザキサ)を内服中に脳出血や出血をおこすような 疾病を起こした際、その薬の効力を止める薬剤も使用できるよ うになりました。 脳卒中は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分類されます さらに脳梗塞はおおまかに次のように分類されます 脳梗塞 ・・・・脳の血管が詰まる 脳出血 ・・・・脳の細い血管が切れて出血 くも膜下出血 ・・・・脳の血管にできた動脈瘤や異常血管が破れて出血 ラクナ脳梗塞 ・・・・脳のかなり細い血管が詰まる アテローム性脳梗塞・・・・脳の太い血管が動脈硬化で細くなって詰まる 心原性脳梗塞 ・・・・心臓にできた血の塊が脳の血管に詰まる ・・・・これらの脳梗塞のなりかけの状態 一過性脳虚血発作 どれも出来なかったり、1つでもお かしなことがあれば早急に救急車 を手配しましょう。 救急隊の判断で済衆館病院もしく は高次医療機関(重症と考えられ た場合)に搬送され適切な治療を 受けることができます。 脳梗塞は時間との勝負です TIME 公益社団法人 日本脳卒中協会 × 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 公益社団法人 日本脳卒中協会ポスターより 脳卒中を疑ったら迷わず救急車を呼んでください。 海外ではFASTの施行が推奨されていて国民にも周知されています 「いー」と言いながら口角を上げます。 どちらかの口角が上がらなければ脳梗塞の疑い。 顔面麻痺を確認する FACE 掌を上にして肩の位置まで上げ、目をつむります。 どちらかの腕が下がってくるようであれば疑い。 腕の麻痺やしびれを確認する ARM 家族の名前を全員言ってもらうなどでもOKです。 言えなかったり、おかしなことを言っている場合は疑い。 言語の異常を確認する SPEECH 突然この症状があれば一刻も早く救急車を呼んでください すぐ消えたまひやしびれもすぐ受診してください。 ● ● ● ● ● 片方の手足・顔半分の麻痺・しびれが起こる ロレツが回らない、言葉がでない、他人の言うことが理解できない 力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分がかける 経験したことのない激しい頭痛がする 脳卒中は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分類されます さらに脳梗塞はおおまかに次のように分類されます 脳梗塞 ・・・・脳の血管が詰まる 脳出血 ・・・・脳の細い血管が切れて出血 くも膜下出血 ・・・・脳の血管にできた動脈瘤や異常血管が破れて出血 ラクナ脳梗塞 ・・・・脳のかなり細い血管が詰まる アテローム性脳梗塞・・・・脳の太い血管が動脈硬化で細くなって詰まる 心原性脳梗塞 ・・・・心臓にできた血の塊が脳の血管に詰まる ・・・・これらの脳梗塞のなりかけの状態 一過性脳虚血発作 脳卒中を疑ったら迷わず救急車を呼んでください。 海外ではFASTの施行が推奨されていて国民にも周知されています

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