知っていればその時役立つ話-その3-

25 “むせる・咳込む”あなたはそんな苦しい経験はありませんか? とくに高齢となったり、病気で起き上がれなくなった時はそれは、大変なことです。年を取ると、その回数が増えます。 嚥下リハビリテーション パートⅠ マンスリー済衆館だより 希望 第118号(2017年1月号)より 今回は、食べ物や飲み物の飲み込み(嚥えん 下 げ )障害 について、嚥下の機能と検査を中心にお話しいたし ます。 私たちは、食べ物や飲み物や唾液、痰を飲み込ん だ後、一部同じ道を通り気道に入り込まないように弁 (以下、喉 こう 頭とう 蓋がい )で瞬時に振り分けられます。その 時、何らかの原因でうまく飲み込みができないことを 嚥えん 下 げ 障害と言います。ここでうまく振り分けられず、 気道に物が入るとむせた り、咳き込んだりしてしま います。このまま嚥下障 害を来すと栄養不足や水 分不足を引き起こしたり、 誤嚥から誤嚥性肺炎を発 症したり全身状態が悪くなったりします。 嚥下障害の原因として 次のような病気があります。 脳卒中、認知症、球麻痺(延髄視床下部の障害: 嚥下反射誘発なし、不完全、食道入口部開大不全) 偽性球麻痺(筋力低下、嚥下反射遅延、喉頭閉鎖の タイミングのずれ)、腫瘍(咽頭・喉頭・食道)等が挙 げられます。ただ飲み込むという単純な嚥下動作で も以下の5期に分類できます。 嚥下動作の分類として ❶ 食物を認知する認知期 ❷ 咀 そ 嚼しゃく 運動を行う準備期 ❸ 食べ物を後方の咽頭に送り込む口腔期 ❹ 嚥下反射が起きる咽頭期 ❺ 食べ物が食道に入って胃に運ばれる食道期 以上の5期に分けられます。特に重要なものは❹ の咽頭期です。咽頭から食道へ一瞬にして(0.3~ 0.5秒)で食べ物を運びます。ここに色々な病気が加 わると、複雑な病態が起こり、その運動が大きく阻害 されてしまいます。例えば、偽性球麻痺あるいは球麻 痺です。 検 査 検査には、嚥下内視鏡と嚥下造影があります。 〇嚥下内視鏡 嚥下内視鏡は鼻から内視鏡を入れ、咽頭を観察す る検査で喉の性状や実際に食事をした時に食べ物 が残らないかどうか等を評価することができます。 〇嚥下造影 X線透視下でバリウムを内服して頂き、その通過を 見ます。この検査は嚥下の5期すべての情報が得ら れる検査です。 対 応 下のような画像からどのような食形態が良いのか (ミキサー食、ペースト食等色々あります)、食事を 摂る時はどのような姿勢が良いのか(かなり体を寝 かせてしまった方が誤嚥はしにくいです。また顎を引 くことも重要です)、といったことを考えていきます。 物を食べるということは人間にとって大きな楽しみで もあり、その喪失はQOL(クオリティー・オブ・ライ フ:生活の質)を大きく低下させることになります。 評価の必要のある方には、このような検査を組み 合わせることで嚥下の評価を行い、最終的には機 能・栄養状態の改善、QOL改善に繋げていきたいと 考えております。 次回、パートⅡでは、誤嚥による窒息を起こした時 の対応と予防、嚥下機能の回復のための嚥下リハビ リテーションの取り組みについてご紹介いたします。 誤嚥のない状態 〈嚥下造影の画像〉 気管に少し誤嚥がみられた造影 飲み込みの際、少量の バリウムが気管に 流れている 食道にバリウムが 正常に流れている している内視鏡 舌根 喉頭蓋 声帯 声門 内視鏡による咽頭の映像 ( ) ( ) 食道 喉頭蓋 口蓋 飲食物 鼻腔 唇 舌 声門 歯 空気 気管 誤嚥のない状態 〈嚥下造影の画像〉 気管に少し誤嚥がみられた造影 飲み込みの際、少量の バリウムが気管に 流れている 食道にバリウムが 正常に流れている 使用している内視鏡 舌根 喉頭蓋 声帯 声門 内視鏡による咽頭の映像 ( ) ( ) 食道 喉頭蓋 口蓋 飲食物 鼻腔 唇 舌 声門 歯 空気 気管 誤嚥のない状態 〈嚥下造影の画像〉 気管に少し誤嚥がみられた造影 飲み込みの際、少量の バリウムが気管に 流れている 食道にバリウムが 正常に流れている 使用している内視鏡 舌根 喉頭蓋 声帯 声門 内視鏡による咽頭の映像 ( ) ( ) 食道 喉頭蓋 口蓋 飲食物 鼻腔 唇 舌 声門 歯 空気 気管 食 道 気道 肺へ 胃へ 食 道 気 道 肺へ 胃へ 食 道 気 道 肺へ 胃へ

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