知っていればその時役立つ話-その3-

24 血管外科のご紹介 マンスリー済衆館だより 希望 第117号(2016年12月号)より 平成28年4月より新しく血管外科の診療を始めさせていただきました。 “血管外科”というのは一般に耳慣れない診療科目かもしれませんので、 当科の診療内容をご紹介します。 診療内容・特色 血管外科の診療対象は心臓、脳血管を除く全身の血管疾患です。 具体的には ●腹部大動脈瘤・大動脈解離などの大動脈疾患 ●閉塞性動脈硬化症・バージャー病などの末梢動脈疾患 ●深部静脈血栓症・下肢静脈瘤などの静脈疾患 ●人工透析のための内シャント作成 ●虚血性・糖尿病性足病変に対するフットケア などの治療を行っています。 主な診療対象 1.大動脈瘤 大動脈瘤とは動脈硬化などの原因で胸部/腹部大動脈径が増大し正常の1.5倍以上 になったものをいいます。一般的に瘤径が5cmを超えてくると破裂のリスクが高くなる ため手術が勧められます。当科は愛知医科大学病院・血管外科と連携しており、手術 適応となった症例は大学病院へ紹介してステントグラフト手術、人工血管置換術など の治療を受けていただくことができます。 2.閉塞性動脈硬化症(ASO) 動脈硬化により下肢の動脈が狭窄・閉塞して虚血をきたし、間 かん 歇けつ 性せい 跛 は 行こう 【しばらく歩くと足に痛みやしびれを生 じ、少し休むと歩けるようになる症状】・安静時痛・難治性潰瘍などを生じる病気です。重症下肢虚血になってしま うと切断が必要になることもあります。糖尿病、透析患者数の増加に伴いASO患者も増加傾向にあります。当 科では病変の形態的修復よりも機能的評価に基づいた適切な治療を重視しています。跛行距離や今年より導 入されたSPP【皮膚組織灌流圧(SPP)】※1などの無侵襲検査を用いて診断し、軽症の跛行では運動療法・薬物 療法を行い、重症の跛行や安静時痛、難治創を伴う場合には主に愛知医科大学病院へ紹介してバイパス術や 血管内治療などの血行再建を行う方針としています。また、透析室と連携してASOを潜在的に合併することの 多い透析患者さまを対象に下肢血流のスクリーニングを行っています。 3.下肢静脈瘤 軽症例には下肢挙上、弾性ストッキングなど圧迫療法の指導を行っています。下 肢の重さだるさの訴えが強い場合、見た目が気になる場合、うっ滞性皮膚炎や潰瘍 を伴う重症例にはレーザー治療、ストリッピング手術をお勧めしています。レーザー 手術は愛知医科大学病院(2泊3日入院)か血管外科クリニック(日帰り)へ紹介し て受けていただいていいます。ストリッピング手術【傷んだ伏在静脈内にワイヤーを挿入 して静脈を抜き去り取り除く手術】は当院で行うことが可能です(3泊4日)。 4.内シャント作成 当院で透析導入となった患者さまの内シャント手術を当院で行っています。血管の状態によって自家静脈・人 工血管を用いた内シャントを作成しています。 5.足病変・潰瘍 血管外科の対象疾患には、虚血性潰瘍・糖尿病性足病変など足に難治創を合併するもの があり、当科で創処置やフットケアを行うことがあります。創治癒には血流、感染、創の状態 が複合的に関与しており、症例ごとに適切な診断と処置が必要になると考えています。 上記の疾患でお困りのときは血管外科にご相談ください。今後ともよろしくお願い申し上げます。 ※1 末梢血管領域において、下肢虚血の重症度評価(皮膚レベルの微小循環の指標) 腹部大動脈瘤 下肢静脈瘤 足病変 腹部大動脈瘤 下肢静脈瘤 足病変 腹部大動脈瘤 下肢静脈瘤 足病変

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