22 夜尿症は病気? ちょっと相談しにくい、でも悩んでいる「おねしょ」?「夜尿症」?のお話です。 マンスリー済衆館だより 希望 第115号(2016年10月号)より Q 「おねしょ」と「夜尿症」は違うの? A 生まれてしばらくは毎晩おねしょをしますが、年齢とともに減ってきます。5~6歳 で約20%、小学校低学年で約10%になります。幼児期の夜尿は「おねしょ」とい いますが、6~7歳以後は、病気と捉え、一般的に「夜尿症」と言います。 Q 夜尿症は自然に治るのでは? A 夜尿症は1年で10~15%は自然に治ります。ただ、「ほかの子に知られたらいじめに遭う」、「親子のスト レスの原因になっている」「本人の劣等感を助長している」「学校の宿泊行事は参加したくない」などで悩 んでいたら治療を考えてもよいかもしれません。 Q 夜に起こしてはいけないのか? A 夜尿症は、親の育て方やトイレトレーニングの誤りではありません。夜尿症の背景には、遺伝的要因、 性別、気温などの多因子が関係しています。両親が夜尿症の既往があると、子供が夜尿症になる頻度は 高くなります。また性別では、明らかに男児に多くみられます。 病因は、(1) 夜間の抗利尿ホルモン(尿量を少なくするホルモン)の分泌が不十分で尿量が多くなる (2) 膀胱の容量が少なく、漏れてしまう (3)夜間に漏れても目が覚めないなどの睡眠の問題 が関係し ています。夜に起こしすぎると(1) の抗利尿ホルモンの分泌が減るため、夜間の尿量が増加し夜尿がひど くなる原因になります。 「夜は起こさず」さらに「怒らず」「焦らず」が夜尿症治療の三原則になります。 Q 夜尿症の治療は? A まず生活面の見直しから始めます。夕食は塩分、香辛料の摂取は控え る、就寝少なくとも2時間前から水分摂取は控える、就寝前には必ずト イレに行く習慣をつける、等が基本となります。また便秘も夜尿症の誘 因になるので、毎日の排便の確認も重要です。 生活改善を踏まえて次の段階は、病型分類を行い、治療方針を決め ます。 Q 病型分類はどのようにして決めるのか? A (1)夜間に作られる尿量(夜間尿量:夜の尿量と朝一番の排尿量)の測 定 (2)昼間、がまんの限界まで貯められる膀胱の容量(膀胱容量)の測 定より分類します。夜間尿量が200ml以上を多尿型、膀胱容量が200ml 以下を膀胱型、両方存在する場合は混合型と分類します(10歳以上は 250ml以上、以下で分類)。 Q 治療すればどれくらい早く治るのか? A 治療は病型分類に従い、尿を少なくする薬、膀胱の容量を増す薬、機器によるアラーム療法、漢方薬な どで行います。1年で約50%は治ります(右図参照)。 Q 「うちの子だけ…」 A ではありません。悩んでいる方はたくさんいます。学校の宿泊、クラブや塾の合宿を無事終え、安堵した 御両親。自信を持ち、どんどん積極的になっていく子供たちがたくさんいます。 悩んでおられるのなら一度、小児科、泌尿器科で相談されてはいかがでしょうか。なぜなら夜尿症は、 熱中症、脱水症と同じ「症」の付く病気だからです。 0 20 40 60 80 100% 126例 1年目 2年目 61例 48.4% 90例 83.3% 108例 治癒例 年齢:5歳から13歳 廣田貴久:チャイルドヘルス2011 ■ 夜尿症の治癒率 0 20 40 60 80 100% 126例 1年目 2年目 61例 48.4% 90例 83.3% 108例 治癒例 年齢:5歳から13歳 廣田貴久:チャイルドヘルス2011 ■ 夜尿症の治癒率
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