知っていればその時役立つ話-その3-

13 世界最高水準の320列CTが稼働開始 -より安全で快適な検査を目指して- マンスリー済衆館だより 希望 第106号(2016年1月号)より 当院では平成27年11月9日よりCT装置を16列CTから更新し、320列CTが導入されました。この装置は以 前のCTに比べて撮影スピードが格段に速くなりました。心臓や脳なら1秒ほどで撮影できます。肺から骨盤部 までの撮影では以前は30秒ほどかかっていましたが、320列CTでは5秒ほどで終わってしまいます。そして被 ばく線量を抑えながらも高画質な画像を得ることができ、患者さまの身体的負担も少なくなりました。 また当院では新たに心臓CTや大腸CTも開始していきます。これによって 冠動脈の狭窄・閉塞などの診断や、大腸ポリープ・大腸癌の診断も行えるよ うになりました。それでは320列CTについて詳しく説明いたします。 320列CTの特長 ①撮影時間の短縮 以前の16列CTは広範囲を撮影するために、寝台を少しずつ動かしながら時間をかけて撮影していました(参 照:図1)。しかし320列CTではX線を出す装置が1回転するだけで16cmという広範囲が撮影可能になったの で、脳や心臓なら寝台の移動無しで1秒ほどで 撮影を終わることが可能です(参照:図2)。特 に心臓においては最短の0.275秒という速さ で撮影は終わってしまいます。そのため呼吸停 止時間も短く済み、静止できない乳幼児でも ブレの少ない画像が得られます。 ②放射線被ばくの低減 320列CTは一度に撮影できる範囲が広いため、以前のCTと比較すると被ばく線量は約1/4にまで低減さ れます。しかし少なすぎるX線量で撮影してしまうと、画像としては不鮮明になることがありますが、この装置 にはその不鮮明さを自動で調整する機能を搭載しており、少ないX線量でも高画質で画像を作成できます。 ③造影剤使用量の低減 病変の範囲の確認、病気の確定診断、血管の狭窄の有無の確認など理由は様々ですが、より詳細に撮影す るために造影剤という薬を使用することがあります(すべての患者さまではなく、必要に応じて行います)。16列 CTでは造影剤総量が70~100ml必要でしたが、320列CTでは50mlと約半分の量で検査可能になり患者 様の身体的負担が軽減されます。 ④心臓CT・大腸CT 心臓CTは造影剤を点滴して、心臓全体を撮影していきます。これによって冠動脈の狭窄・閉塞の診断、また 冠動脈の動脈硬化の評価などが行えるようになります。短時間で撮影できるので、細い血管の先端までより詳 細に描出可能です。心臓CTは平成27年12月より予約を開始しています。そして平成28年4月からは大腸CT の予約を開始する予定です。この検査は大腸に炭酸ガスを注入して撮影し、大腸をまるで内視鏡でみているか のような3D画像を作成して大腸ポリープや大腸癌の診断を行います。 このように320列CTの導入により今までよりも幅広い検査が可能になりました。これまで以上により良い診 断と医療の提供を目指して努力してまいります。 320列CT 図1 図2 320列CT 図1 図2

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